研究実績の概要 |
研究評価改革は、欧州における取り組みが引き続き進んでいる。「研究評価の改革に関する合意」が40か国 350 機関の関心表明の下、2022 年7月に取りまとめられ、同年 12 月には欧州委員会、欧州大学協会、欧州研究助成機関等の団体である Science Europe が中心となり、研究評価促進連合(Coalition for Advancing Research Assessment, CoARA)が正式に発足した。 米国と日本は研究評価改革の議論には現段階ではコミットしていないが、欧州において研究評価改革の大きな波に繋がることとなった「公的資金を得た学術論文の即時オープンアクセス(OA)」が政策として推進されることが明確になりつつある。米・科学技術政策局(OSTP)は2022年8月にその方針を打ち出し、日本は、2023年春に日本で開催されるG7に合わせて、国内における即座OA推進の方針を固めた。日米は、論文のみならず研究データの即時公開を求めており、それによりデータ駆動型科学とチームサイエンスが大きく促進され、研究評価改革に繋がることが期待される。 一方、豪州は研究評価改革という観点では世界の動向を見守っているが、より現実的な形で、国内大学におけるデータ駆動型科学を推進するための体制整備等を進めている。豪州研究データコモンズ(ARDC)が全国レベルでその旗振り役となるほか、大学レベルでは一部大学にe-サイエンスセンターが設置され、各教員レベルの研究データの取扱いを支援している。研究支援は、若手のPhD保有者が担っており、これについてもチームサイエンスの一環で、豪州国内における研究評価改革に繋がりうる伏線である。 このように、世界において研究評価改革の動きが進みつつあり、「研究マス化時代」にフィットした学術推進システムとそれに伴う研究評価体系に向けて転換が進みつつあると言える。
|