研究課題/領域番号 |
19K22036
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 賢一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20335996)
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研究分担者 |
高田 健 大同大学, 工学部, 教授 (60373586)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | クラスタ形成挙動 / 転位 / 力学応答 / クリープ変形 / 析出 |
研究実績の概要 |
アルミニウム合金や炭素鋼などの固溶体合金は、過飽和固溶状態から低温で時効を施すことによりクラスタと呼ばれる合金元素の集合体が形成され、材料の強度上昇を引き起こすことが知られている。クラスタの存在を確かめる手法は種々存在するが、いずれも破壊解析であり、クラスタの核生成から成長までの経時変化については解明されておらず、解析手法も確立されていないのが現状である。 そこで本研究では、時効生成物により力学応答が異なることを利用して、材料の塑性変形を担う線状欠陥である「転位」をクラスタ形成の検出プローブとして用いる動的解析手法を確立することを目的としている。 2019年度は、対象とする合金をAl-Mg-Si系合金に決定した。その上で、研究代表者の研究チームを中心に、種々の加工熱処理条件での時効硬化挙動を確認するとともに、動的解析装置として検討している小型クリープ試験機の設計を行った。クリープ試験機を動的解析装置として用いるためには、高精度のひずみ測定が必要であることから、レーザー変位計による測定を組み込むことを決定した。また、研究分担者の研究チームでは、時効中のクラスタ・析出物形成を電気抵抗率により測定する手法を進めており、その場測定すなわち動的測定手法の確立に着手するとともに、温度変動などが大きい場合などの問題が発生する場合の対策についても検討を進めている。 また、両研究チーム共同で転位と析出物の関係についてもこれまでの知見をもとに議論を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は7月から研究が開始することになり、研究計画を立てるための議論を進めるとともに、研究代表者と研究分担者のそれぞれの研究チームにおいて目標を立てて研究を進めてきた。クリープ試験機による動的解析手法を確立するための装置設計が完了している。また、電気抵抗率による動的解析手法にも挑戦しており、2020年度に向けて研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、動的解析手法の確立を目指す。研究代表者の研究チームでは、2019年度に設計したクリープ試験機の製作に取りかかるとともに、クラスタや析出物の生成と力学応答の関係を高精度ひずみ測定により明らかにする。一方、研究分担者の研究チームでは、電気抵抗率による動的解析手法の確立を目指す。得られた結果をもとに、両研究チームでの議論を進め、今後の展開を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度使用額が生じた理由は、クリープ試験機の設計に時間を要したため、2019年度内に試験機の製作に取りかかれなかったためである。2020年度の直接経費とともにクリープ試験機の製作費として使用する予定である。
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