研究課題
骨機能を本質的に回復する材料科学に基づいた新たな骨再建法の確立のためには、骨基質(コラーゲンとアパタイトからなる)の生体内での応力方向への優先配向化が不可欠である。配向化を人為的に誘導するため、これまでに当研究グループで得られた配向化制御因子である「応力負荷」と「骨形成細胞の配列化」を、再生中に人為的にコントロールする方法論を確立しつつある。中でも、骨再生中において骨が石灰化(ミネラルが沈着して硬くなる)する前の軟組織に適切な大きさ、適切なタイミングでひずみ場を負荷することで、軟組織に構造変化を与え、骨形成細胞が配列化する足場を提供することに成功した。細胞配列化のためのひずみ条件の最適化を達成した。最適ひずみ場負荷条件は、細胞の接着を介した骨切断部と軟組織線維との固着力に基づいて決まることが示唆された。骨形成細胞配列化の結果として、骨基質は優先配向化し、本方法論の妥当性が実証された。さらに、前年度から取り組んでいる、本来の配向方向とは異なる方向への骨基質配向化も達成できた。これは、インプラント埋入部への適用を期待している。骨形成細胞の配列化による骨基質配向化は、生体外(in vitro)では実証されていたが、その機序が生体内(in vivo)でも実現できることを、本研究で示すことができた。生物の能力に依存した骨配向化には長時間を有するが、本知見により、人為的に再生骨の配向性、そして、力学特性を早期に回復することが可能となり、新たな、材料工学的観点からの骨再生手法の提案につながった。
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Calcified Tissue International
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