研究課題
挑戦的研究(萌芽)
塑性変形の機構は、一般的には、材料中に内在する転位がある特定のすべり面上において特定のすべり方向に移動するせん断変形による、とされている。本研究では、超高速変形下で発現していると考えられる、この一般的な塑性変形の原理とは異なる機構を解明し、それを新しい塑性加工法として応用することを目的とする。本挑戦的萌芽研究を通じて、フェムト秒レーザ駆動衝撃波は、BCC, FCC, HCPの結晶構造に依存せず塑性変形を容易に起こすことが可能であることが分かった。
材料加工学
本研究によって、これまでに無かった新しい塑性変形機構を提唱出来るだけでなく、この機構を利用することによって、これまで従来法では強化することが難しかった材料を強化することが可能になる。例えば、CO2削減のため自動車の軽量化が進められており、このことを実現するために軽量で高強度である高張力鋼板が用いられている。ところが、この高張力鋼板を後処理でさらに強度を上げることは極めて難しい。その理由は、既に臨界密度に近い転位を内在しているためである。本研究によって、転位を効率的に追加することが出来るようになり、マクロ的にはさらなる高強度化が可能になると見込まれる。