研究課題/領域番号 |
19K22088
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 昌弘 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50315397)
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研究分担者 |
武井 孝行 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (90468059)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロカプセル / 有用微生物 / 生分解高分子 / 微生物資材 / 環境バイオ |
研究実績の概要 |
微生物資材は、土壌環境の微生物相コントロールが可能となる材料として注目されている。微生物資材は効果が抜群で、自然にやさしい資材であるが、全ての土地において安定した効果を得られていないのが現状で、様々な土壌環境に対し有用微生物の力を最大限に発揮させるのは難しい。本研究は、効果的な土壌改良法として微生物資材中の有用微生物をマイクロカプセルに内包し、新しい土壌改良資材として土壌環境の改善を試みることを目的とする。有用微生物を多核構造を有する100μm程度のマイクロカプセルを調製するため、複合型エマルションの相分離法と液中乾燥法を組み合わせた手法を取り入れた。具体的には、分散相(O)としてカプセル壁材である生分解性高分子を、界面活性剤を添加した高分子良溶媒(低沸点)を調製し、調製した分散相1(W1)を有用微生物と微生物保護剤としてアルギン酸ナトリウムを加えたものを連続相1(W1)に加え、混合撹拌することでW1/Oエマルションを作成した。このW1/Oエマルションをさらに用意した連続相2(W2)に添加し(連続相2には分散安定剤としてポリビニルアルコールや第三リン酸カルシウムを添加)、混合撹拌することでW1/O/W2エマルションを形成した。バッチ式反応容器内にエマルションを投入後、昇温さらに1013hPaから700hPaに減圧し、高分子良溶媒を除去し、マイクロカプセルを調製した。調製したマイクロカプセルは固液分離し、その特性評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有用微生物を固定化するマイクロカプセルを調製できたが、さらなる検討が必要である。特にマイクロカプセル調製時における温度や有機溶媒に対する有用微生物の活性保持、有用微生物の固定化量などは再検討が必要である。カプセル壁材については、微生物の活性保持がより良好な材料の選定も行いたい。特性評価をフィードバックし、カプセル調製条件の最適化を次年度以降行う。
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今後の研究の推進方策 |
有用微生物を高密度かつ高活性を維持したマイクロカプセルを調製する。これには、特性評価をフィードバックしマイクロカプセル調製条件の最適化する。カプセル壁材は複数の生分解高分子を採用する予定である。また、実証試験のためのデータ蓄積として、有機酸(特に乳酸)の生成量を利用した検定法を用いる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、挑戦的萌芽(萌芽)が年度途中の採択であるためである。また、使用計画としては、微生物固定化マイクロカプセルの調製条件の最適化やこれに伴う特性評価のための備品や消耗品の購入を予定している。
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