微生物資材は、土壌環境の微生物相コントロールが可能となる材料として注目されている。微生物資材は効果が抜群で、自然にやさしい資材であるが、全ての土地において安定した効果を得られていないのが現状で、様々な土壌環境に対し有用微生物の力を最大限に発揮させるのは難しい。本研究は、効果的な土壌改良法として微生物資材中の有用微生物をマイクロカプセルに内包し、新しい土壌改良資材として土壌環境の改善を試みることを目的とする。有用微生物を多核構造を有する100μm程度のマイクロカプセルを調製するため、複合型エマルションの相分離法と液中乾燥法を組み合わせた手法を取り入れた。具体的には、分散相としてカプセル壁材である生分解性高分子を、界面活性剤を添加した高分子良溶媒を調製し、調製した分散相を有用微生物と微生物保護剤としてアルギン酸ナトリウムを加えたものを連続相に加え、混合撹拌することでW/Oエマルションを作成した。このW/Oエマルションを別途用意した連続相に添加し、混合撹拌することでW/O/Wエマルションを形成した。バッチ式反応容器内にエマルションを投入後、昇温さらに減圧し、高分子良溶媒を除去することでマイクロカプセルを調製した。当該年度は、これまでに取り組んだ有用微生物を包括固定化した多核構造を有するマイクロカプセルを調製し、マイクロカプセル調製時における温度や有機溶媒に対する有用微生物の活性保持、有用微生物の固定化量など実証試験に重要なデータ収集(とりわけ再現性に関するデータ収集)に取り組んだ。
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