研究課題
挑戦的研究(萌芽)
軟X線領域におけるX線吸収分光法(XAFS)を用いて,化学反応が時間とともに深さ方向に進行していく様子を,非破壊かつリアルタイムで観察する新たな測定手法を開発した。波長分散した(位置によって波長の異なる)軟X線を試料表面に照射し,それぞれの位置における軟X線の吸収量に比例して放出される蛍光X線を,二枚の球面鏡で結像するとともに,蛍光X線の出射角を弁別して検出することによって,秒オーダーの時間分解能とnmを切る深さ分解能を同時に実現した。
表面科学
本研究は軟X線吸収分光を用いた化学反応の観察において,秒レベルの時間分解とnmを切る深さ分解を同時に実現したものである。触媒表面で起こる反応,薄膜型二次電池の充放電過程,電極表面における電気化学反応など,深さ方向に進行する反応は数多くあるが,そういった反応を実際の反応に近い条件で,実際に反応が起こっている時間スケールと深さスケールで観察することは,反応の仕組みを理解するのに大きく役立ち,反応の効率や速度を向上させることにつながる。