回折限界を超えた空間分解能にて試料を観察することのできる超解像光学顕微鏡は,主に細胞内の微細構造を可視化する技術として発展してきた.本研究は,従来の回折限界以下の微小スポットからの光情報の取得という光学顕微鏡の超解像化に対する既成概念から脱却し,通常のレンズを用いた光学観察と同様に,2次元画像を一括に取得することを念頭に超解像を実現するという挑戦である.この概念を実現するため,金属中電子振動を用いた新原理に基づく超解像イメージング法の開拓を目指す. 本研究目的達成のため,結晶性銀ナノワイヤ合成手法を確立し,銀ナノワイヤ上の光共鳴伝搬を実証した.共鳴伝搬特性を解析するため,電磁場解析による伝播シミュレーション,伝播光のスペクトル解析,偏光特性を解析した.さらに,蛍光体量子ドットを銀ナノワイヤの一端に局所堆積するマニピュレーション技術を確立し,量子ドットからの微小蛍光が,銀ナノワイヤ内を電子振動によって伝播し,ワイヤ他端から蛍光が散乱観察されることを実証した.本研究成果は,銀ナノワイヤをアレイ状に配列した金属ナノレンズによって微小蛍光分布が超解像2次元観察されることを示唆する極めて重要な成果といえる.
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