本研究では、人工的急峻電子状態を有する量子閉じ込めナノ構造を、良電子伝導を担うナノワイヤの側面にもつコアシェルナノワイヤの埋め込み薄膜を創製することで、ナノワイヤ中の良伝導電子状態と人工的急峻電子状態の混成による出力因子増大と界面フォノン散乱による熱伝導率低減を同時に実現し、透明熱電材料開発に向けて本学理に基づく熱電性能向上方法論を創成することを目的とした。本研究では、ZnO/Mg0.1Zn0.9Oコアシェルナノワイヤ構造薄膜を形成し、ゼーベック係数の増大を観測した。このメカニズム解明にはさらに詳細に調べる必要があるが、本増大の観測の成功は、本ナノ構造戦略による有用性の可能性を示す結果である。
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