研究課題
研究代表者はこれまで多環芳香族炭化水素(PAH)に対する置換基導入による機能化に取り組んでいる。すでに①難溶性オリゴリレンの直接ホウ素化およびそのカップリング反応による誘導体化、②[70]フラーレンに対する二重付加反応による分子構造のキラル化およびキロプティカル特性化を通じて、平面状および球状π電子系への置換基導入による機能化を達成した。いずれも母骨格は代表的な難溶性PAHであるが、今後の大発展への足掛かりとなる成果である。①については論文の掲載に至っており、②についてもすでに論文投稿中である。R2年度は曲面π共役系であるコラニュレンの置換基導入によってπ共役系を拡張し、当初の狙い通りフラーレン展開図としての曲面π共役系の創出を達成した。具体的には、③コラニュレンから炭素10個分拡張することで、吸収スペクトルと蛍光量子収率を劇的に制御することに成功し、更に④炭素20個分の拡張では、単体では見られない電荷移動型の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを見出した。とくに④はこれまでのπ曲面化合物では見落とされてきた特性であり、今後の分子設計に大きなインパクトを与える発見である。研究期間全体を通して、非常にシンプルな炭素シート状化合物の分子設計から様々な特性を引き出すことができ、当初の目標を達成するのみならず、更にすすんだ予想外の成果が得られた。現在新規化合物5つの単結晶構造と合わせて論文執筆中である。これらの成果を元に更なる魅力的な化合物の合成テーマを展開中である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)
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