研究課題/領域番号 |
19K22114
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
田中 啓文 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | ランダムネットワーク / ニューラルネットワーク / ニューロモルフィック / リザバー演算 / ナノ粒子集合体 |
研究実績の概要 |
ランダムネットワークから脳型機能を導き出すことを目的とする。人工知能(AI)が非常にホットな話題として注目を浴びている。人工知能をソフトウエアで達成しようとするプロジェクトは多く見受けられるが、デバイス作製などハードウエアで達成しようとする取り組み(脳型ハードウエア)はこれまでにほとんどなされてこず、小型で消費電力が小さくかつ人間の脳と同程度のプロセッシング能力のあるコンピュータの開発が急務である。ランダムネットワークは人工ニューラルネットワーク演算の消費電力を下げると期待されており、これまで我々も研究を行ってきた(Nature Commun. 9, 2693 (2018).他)。本研究ではランダムネットワークの材料系と作製方法を挑戦的に変更し、さらに高度なニューロモルフィック(脳型)デバイスへの到達を目指し下の三項目に注目し研究を進めた。 1.Ag/Ag2Sコアシェルナノ粒子およびその集合体の作製(保護分子層の変更と誘電泳動法によるナノ粒子集合体作製)2.Ag/Ag2Sコアシェルナノ粒子の集合体中へのランダムネットワーク作製(ナノ粒子多ジャンクション間架橋によるランダムネットワーク作製)3.脳型情報処理への適応性探究、新奇プロセシング法の検討と脳型情報処理適応への提案(a.ランダムネットワークを用いた機械学習的論理演算、b.ランダムネットワークを用いた機械学習的脳型(リザーバ)演算)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ag/Ag2Sコアシェルナノ粒子及びその集合体の作成をブラスト法を用いて行った。保護分子にアリルメルカプたんや分担チオールを用いて作製したところトンネル抵抗の大きさが変化したため。ジャンクション中の架橋スイッチングの様子が変化した。これは分視聴がトンネルギャップとして機能しているからである。また、Ag/Ag2Sコアシェルナノ粒子の集合体中へドロップキャストの条件を変更しつつ凝集体を作製した。この凝集体はあらゆる方向へジャンクションを有するランダムネットワークとして振舞うことが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
得られたAg/Ag2Sコアシェルナノ粒子ランダムネットワーク構造を脳型情報処理への適応性を探求する。ランダム構造とリカレントニューラルネットワークの一つであるリザバー演算との親和性が非常に良く、リザバーによる脳型演算を目指す。最終的には自律ロボットの画像認識や音声認識などに利用できるようにしつつ、脳型情報処理への適応性との関係を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の出張に用いるはずであった旅費が新型コロナウイルス流行の影響で未使用となり次年度の学会出張に転用することとなったため。
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