研究実績の概要 |
人工知能(AI)が非常にホットな話題として注目を浴びている。人工知能をソフトウェアで達成しようとするプロジェクトは多く見受けられるが、デバイス作製などハードウェアで達成しようとする取り組み(脳型ハードウェア)はこれまでにほとんどなされてこず、小型で消費電力が小さくかつ人間の脳と同程度のプロセッシング能力のあるコンピュータの開発が急務である。ランダムネットワークは人工ニューラルネットワーク演算の消費電力を下げると期待されており、これまで我々も研究を行ってきた(Nature Commun. 9, 2693 (2018).他)。本研究ではランダムネットワークの材料系と作製方法を挑戦的に変更し、さらに高度な機能を有する脳型デバイスの開発を目指した。研究の進め方としては、チオールで安定化されたAg/Ag2Sコアシェルナノ粒子(AgNP)を凝集させて作った電気デバイスで、ニューロモルフィックな学習スイッチング動作(可塑的メモリ動作)を調べた。チオールには分極性の高いアリルメルカプタンを用いた。Ag/Ag2Sコアシェルナノ粒子を、二層修正Brust-Schiffrin法を用いて合成した。XPSで同定したところAg/Ag2Sコアシェルナノ粒子は、Ag-SおよびAg-S-R結合状態を示したことからAgイオンの酸化還元反応によるスイッチングが可能であることが分かった。AgNPを凝集させたデバイスは、リザバー演算を行い基本的ベンチマークタスクによりリザバー素子として働くことが実証できた。
|