研究課題/領域番号 |
19K22129
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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研究分担者 |
佐藤 和則 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60379097)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 単結晶薄膜 / プロトン / 酸化バナジウム / 金属-絶縁体相転移 |
研究実績の概要 |
本研究では電子に拘らず、究極的に軽く、小さいイオンであるH+(プロトン)に着目し、その強力な還元能と高速拡散に基づく新原理により、従来の電子制御系を超えた電界による巨大動的物性制御を実現する、新しい原理に基づく【酸化物プロトニクス】デバイスを創製する。研究代表者は、特に、代表的な電子相転移物質である酸化バナジウム(VO2)高品質エピタキシャル超薄膜において、プロトンドーピングにより数10m以上の非常に長距離にわたって4桁の急激な抵抗上昇を伴う絶縁体化現象を見出した。この超薄膜と独自の酸化物ナノ構造化技術を用い、省電力で非常に巨大な電気物性および光学特性を制御しうる新奇なデバイスを創製することを目的とした。
1. プロトンドーピング用のPt電極を付与した単結晶VO2薄膜結晶二端子デバイス構造に、複数の温度においてプロトンドーピン時間と電気抵抗変化の相関を評価し、活性化エネルギーを見積もりプロトニックデバイスの基礎パラメータを得ることを行った。 2. さらにプロトンドープデバイスの性能を定量的に評価可能とするために、非対称電極(プロトン触媒ドープ用Pt電極および電気物性測定Au電極)を付与した2端子デバイスの作成法を確立した(対象は同様のプロトン誘起相変化を示すエピタキシャルNi酸化物薄膜)。 3. VO2におけるプロトンドーピングよる電子状態変化を第一原理密度汎関数計算(GGA+U)により評価を行った。さらにNudged elastic band (NEB)法によりプロトンの拡散経路・活性化障壁エネルギーを見積もった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトンドーピング用のPt電極を付与した単結晶VO2薄膜結晶二端子デバイスおいて、活性化エネルギーを見積もりプロトニックデバイスの基礎パラメータを得ることを行った。実際のプロトニクスデバイス(電界誘起抵抗変調)動作に向けては類似物質のエピタキシャルNi酸化物薄膜において作成法、初期動作を確認した。第一目的である単結晶VO2薄膜結晶に対しては、デバイス動作確認には至っていない点で、今後の加速が必要と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
基本的なデバイス作成条件、計測法は類似物質で前年度に確立できたため、単結晶VO2薄膜結晶に対しては、デバイス動作を主眼に研究を重点的に遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末のコロナ対応により、単結晶VO2薄膜結晶デバイス動作実験に至らなかったため、次年度使用が生じた。R2年度は8.今後の研究の推進方策で述べた様にデバイス動作研究に使用する。
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