研究課題/領域番号 |
19K22136
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
山本 和生 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (80466292)
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研究分担者 |
穴田 智史 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (40772380)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 電子線ホログラフィー / レーザー / エバネッセント光 / 光定在波 / 電場 / 干渉 |
研究実績の概要 |
光照射下での物質材料の電位変化や光干渉による電場形成の様子を観察するのが本研究の目的である.GaN p-n接合のTEM試料にキセノンランプを照射し,電子線ホログラフィー計測を行った結果,p-n接合の電位が変化する様子を捉えることに成功した.これは光起電力効果と呼ばれる太陽光発電と同等の物理現象である.この成果は,J. Appl. Physに掲載された.また,ZnOナノワイヤーにもキセノンランプを照射し計測を行った結果,光照射前後で電位の変化を捉えることに成功した.しかし,キセノンランプは様々な波長を含むため,どの波長が影響を及ぼしているのかを解釈するのが困難であった.そこで,レーザーを照射できる特殊なTEM試料ホルダーの開発を行った.レーザーの波長はできるだけ短い405 nmとした.また,試料ホルダーの中に光ファイバーを挿入する設計を行い,光入射システム等の導入も行った.TEM試料ホルダーの先端には,超小型のミラー板やハーフミラー板および試料台をセットできるような特殊な構造になるように設計・製作を行った.TEM試料ホルダーにレーザーを導入し,ホルダー先端にその光を確認することは成功した.しかし,光の偏光を保持可能な光ファイバーの直径が数ミクロンと小さく,出力された光強度は極めて小さいものであった.また,試料先端のスペース制限のため,ミラー板を支持する台はピンセットで移動させるタイプにしなければならず,光干渉を確認することはできなかった.これをさせるには,ミラー板をピエゾもしくはマイクロメーターで移動できるようにし,かつ,レーザーの出力を10~100倍程度にする必要があることがわかった.今回の予算額では光干渉させる装置を開発することはできなかったが,今後の課題を抽出することはでき,また,光と物質の相互作用を電子線ホログラフィーで計測できることはわかった.
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