研究課題
本研究提案の目的は、高次元データーを基にした計算機・統計科学のアプローチを物性科学に積極的に取り込み、学術・応用上重要となる次世代バレートロニクスに求められるバレースピン物理を理解し、高いバレースピン分極、極めて長いバレースピン分極保持時間、などを目指すことである。これまでに単層WSe2などについて進めてきた研究アプローチを、MoSe2/WSe2原子層人工ヘテロ構造に適用することを検討した。まずはバレースピン分極を計測することが可能な、高品質原子層人工ヘテロ構造を作製し、極低温のバレースピン分極の測定を進めた。この原子層ヘテロ構造において、大きな負のバレースピン分極を観測するとともに、微細なスペクトル構造が得られた。この微細なスペクトル構造を高い精度でスペクトル分離するため、それを単純化した系を想定し研究を進めた。継続して、実験で得られた多数の微細なスペクトル構造の分離が可能かどうか検討する予定である。合わせて、この特異なMoSe2/WSe2の原子層人工ヘテロ構造における、バレースピン分極とその緩和メカニズムに関する研究を進めた。その結果、フォノン共鳴でバレースピン分極が増大する事、さらに、励起強度に強く依存してバレースピン分極が変化するなどの実験結果が得られた。これらの結果は、MoSe2/WSe2原子層人工ヘテロ構造におけるモアレ励起子の微細構造、ならびに、その励起子準位間のバレー緩和に関係していると考えられるなど、新たな知見が得られた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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