研究課題/領域番号 |
19K22143
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西中 浩之 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (70754399)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化ガリウム / ミストCVD法 / 格子整合 / 混晶 |
研究実績の概要 |
大きなバンドギャップを有するα相の酸化ガリウム(約5.3eV:α-Ga2O3)は、同じ13族の金属酸化物であるAl2O3やIn2O3が同じ結晶構造を持つために、これらの材料と広範に固溶することが報告されており、その混晶を利用したヘテロ接合デバイスに大きな期待がされているものの、その実証はまだされていない。本研究ではこのヘテロ接合デバイスの実現に向け、新しい材料系であるα-(InxAl1-x)2O3半導体の開拓を行うことを目的としている。 本年度はそのα-(InxAl1-x)2O3半導体の開拓に向けて、その結晶成長技術の検討を行った。このα-(InxAl1-x)2O3の結晶成長にはミストCVD法を用いた。まずその結晶成長の検討として、α-Al2O3上とα-In2O3上への結晶成長検討を行った。 α-Al2O3上では、In2O3が低濃度領域ではα-(InxAl1-x)2O3の単層膜が得られることが確認されたが、In2O3が高濃度になるとIn2O3のビックスバイト構造の(InxAl1-x)2O3が形成されることとなった。これは、α-Al2O3上でのIn2O3の結晶成長では、ビックスバイト構造が優先的であることが原因であると考えられる。そこでα-In2O3上へのα-(InxAl1-x)2O3の検討を行った。このα-In2O3上では、ほぼ目的であるα-(InxAl1-x)2O3のx=0.21が得られた。このα-(InxAl1-x)2O3は、α-Ga2O3とほぼ格子整合する。今後は、これらの材料の物性を評価するとともに、α-Ga2O3上への結晶成長技術の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、α-Ga2O3上へα-(InxAl1-x)2O3の検討を行う予定であったが、まず基礎物性の評価を優先し、α-Al2O3、α-In2O3上へのα-(InxAl1-x)2O3の結晶成長技術の検討を優先した。目的のα-Ga2O3と格子整合させたα-(InxAl1-x)2O3は達成していないが、本年度のα-(InxAl1-x)2O3の結晶成長はまだ誰も達成できていない成果であり、重要な成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は形成したα-(InxAl1-x)2O3の基礎物性を明らかにして、その半導体材料としての優位性を明らかにする。その評価では光学物性やXPSによる価電子帯準位の評価を行い、そのバンドラインナップを調査する。またα-Ga2O3上へのα-(InxAl1-x)2O3の結晶成長についての検討も並行して進め、ヘテロ接合の検討及び評価も行う予定である。
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