研究課題/領域番号 |
19K22154
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
一野 祐亮 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90377812)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | 超伝導 / VLS成長 / 液相安定化 |
研究実績の概要 |
2019年度は、ナノウィスカー成長で重要となる液相の組成と液相安定化条件を明らかにするために、状態図の作成を行った。 気-液-固相を利用した薄膜結晶成長モードの一つであるVLS結晶成長モードでは、種結晶上に液相となる物質あるいは液相触媒となる物質を蒸着し、加熱することで液相にする。この液相にエネルギー材料の原料が溶け込み過飽和状態となることで結晶成長が起こる。そのため、まずはエネルギー材料としてYBa2Cu3Oy(YBCO)高温超伝導体に着目した。先行研究から、YBCOではBa-Cu-O酸化物が液相となることが分かっている。ナノウィスカー成長においては、成膜レートも重要なパラメータとなる。本研究で用いたPLD法では酸素圧力で成膜レートを成業できるため、幅広い酸素圧力と温度の範囲でBa-Cu-O液相が安定に存在できる条件と組成を探索した。 Ag2Oを0~20 wt%添加したBa-Cu-Oをターゲットとして、基板温度(Ts) 870-930ºC、酸素圧力(pO2) 53-200 Paの範囲でBa-Cu-O+Agを成膜し、Ts-pO2状態図を作成した。その結果、Agが増えるに従って、高Ts、高pO2でBa-Cu-Oが液相になる安定領域が広がる傾向が得られた。また、副産物であるが、YBCOの成膜レートを26 nm/sまで向上させることが出来た。従来法では5 nm/s程度であるため、5倍以上の成膜レートの向上が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
液相と基板界面のぬれ性制御を行う予定であったが、十分にその評価ができていない。そのため、進捗はやや送れている。
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今後の研究の推進方策 |
種々の基板材料状に様々な温度、圧力でBa-Cu-O+Ag液相を蒸着し、ぬれ性に与える影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、ぬれ性の評価が不十分であり研究進捗もやや遅れている。そのため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、上記進捗の遅れを取り戻すために使用する。具体的には、作製した試料を効率的に評価するための計測機器購入に充てる予定である。
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