研究課題/領域番号 |
19K22158
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
南戸 秀仁 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (30133466)
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研究分担者 |
平澤 一樹 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (30644306)
岡田 豪 金沢工業大学, バイオ・化学部, 講師 (90757840)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ラジオフォトルミネッセンス / 二次元イメージセンサ / リン酸塩ガラス / CaSO4蛍光体 |
研究実績の概要 |
本研究では、ガラスを主とする無機蛍光体におけるラジオフォトルミネッセンス(RPL)現象を利用した「放射能汚染分布および被ばく放射線量」をモニタリングできるフレキシブルな二次元放射線イメージセンサを構築するためのセンサの機能設計を行うとともに、設計指針に沿った二次元放射線イメージセンサの試作を行い、最終的には、種々の放射線種に応答するイメージセンサを開発することを目指す。 研究2年目の今年度は、昨年度得た成果を基に、Ag-ドープリン酸塩ガラスビーズを有機材料でラミネートすることでフレキシブルな二次元の放射線イメージングセンサの試作をおこない、その基本特性を評価した。 さらに、Na, LiおよびKを含むAgドープガラス蛍光体材料を作製し、その特性評価を行うとともに、検出器のシート化も試みた。また、これらの蛍光体を用いて、放射線二次元像の評価を簡易に行える「二次元イメージの撮影装置」を設計・試作した。 そして、上記に示したRPLガラス蛍光体と二次元イメージの撮影装置を併用することで、各種放射線の放射線量の計測及びイメージングが可能であることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目の今年度は、昨年度得た成果を基に、さらに線量計用の異なった化学組成をもつAg-ドープリン酸塩ガラス蛍光体の作製を行った。これらは、Li2O-Al2O3-P2O5、Na2O-Al2O3-P2O5およびK2O-Al2O3-P2O5を母体材料とするガラスである。これら材料を用いてシート型検出器を作製し、その特性評価を行った。さらに放射線の二次元像を簡易に撮像できるシステムの構築も行った。 その結果、Ag添加Na2O-Al2O3-P2O5ガラスが最も感度が高いが、熱処理によるビルドアップさせた場合はLi2O-Al2O3-P2O5およびK2O-Al2O3-P2O5においても同等の感度を有する事が確認された。しかしながら、有機物とのコンポジット化をさせたシート型放射線検出器は高温に対する耐性が低く、熱処理をおこなう事は困難である。よって、従来のNa2O-Al2O3-P2O5ガラスを母体とする材料が最も適していると言える。さらに、上記材料を用いて「RPLシート」を試作し、二次元像取得システムを併用する事により放射線検出が可能である事が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度を含む今後は、研究2年目に作製できるようになった各種RPLガラス蛍光体のシート化および各種放射線に対する応答を詳細に測定・評価し、最終的にはシート状のRPL線量計と新たに作製した二次元イメージの撮影装置を併用し、センサシステムの評価をしながら、放射線の二次元イメージングが可能な放射線センサシステム技術を確立するとともに、放射線汚染検出・イメージングへの応用や医療診断分野への応用を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初予定していた出張がキャンセルとなった。 また、次年度についても当初予定した出張の可否が不透明な状況である。そのため、現時点において研究が順調に進んでいる状況も踏まえて、旅費として充てていた予算を使い、研究設備・物品をさらに強化し、当初予定していた以上の成果創出に取り組む。
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