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2019 年度 実施状況報告書

生体試料の深部のクライオ1分子イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 19K22162
研究機関東京工業大学

研究代表者

藤芳 暁  東京工業大学, 理学院, 助教 (70371705)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワード1分子観察
研究実績の概要

たった一つの生命現象を発現させるためにも、無数の分子が働いている。しかも、これらの分子は単独ではなく、ネットワークをつくり機能している。このような複雑系の実体を理解する第一歩は、その現場である細胞内部や生体組織を分子レベルで画像化し、分子同士の相互作用の様子を分子ごとに知ることである。しかし、世界的に見ても、誰もこのような画像化に成功していない。我々は凍結試料のための蛍光顕微鏡(クライオ蛍光顕微鏡)に注目し、15年間、研究を続けてきた。実に20台のクライオ蛍光顕微鏡を独自開発した結果、世界で最も高いナノメートルの精度で個々の色素の三次元位置を1分子観察することに成功した。ところが、この方法を厚みのある試料(厚さ>10 μm)に用いると、位置決定精度が著しく低下することが分かってきた。これは、試料と空気との界面屈折に由来する収差が原因であることが分かってきた。そこで、当該研究では、界面屈折の影響をゼロにする「可変浸レンズ (Variable Immersion Lens, VIL)」を開発する。これにより、世界初の細胞・組織内の分子レベルイメージングに挑戦する。2019年度にはVILの開発に成功し、特許の出願も済ませている。
VILは我々が開発した反射対物レンズ「虎藤鏡」と組み合わせて使うことで、界面屈折の影響をゼロにできるという特長を持つ。VILは虎藤鏡の焦点を曲率中心としたメニスカスレンズであり、このような形状にすることで虎藤鏡からのすべての入射光線が垂直入射になる。これにより、界面屈折が起こらず、厚みのある試料でも鮮明な画像が取得できる。すでに、直径6ミクロンの蛍光ビーズをテスト試料として実験を行ったところ、既存の共焦点蛍光顕微鏡で問題となっていた画像の歪みを解消できることを実験的にしめすことに成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2019年度には、当該研究の核となる「界面屈折の影響をゼロにする可変浸レンズ (Variable Immersion Lens, VIL)」の開発に取り組み、成功した。すでに、特許の出願も終えており、投稿論文を準備中である。このように、当初の計画以上に進展しており、コロナウィルス感染の影響を加味しても、来年度中に、当初計画を実現できると考えている。

今後の研究の推進方策

上に述べたように、2019年度は、当初の計画以上に進展しており、コロナウィルス感染の影響を加味しても、来年度中に、当初計画を実現できると考えている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Aberration-corrected cryogenic objective mirror with a 0.93 numerical aperture2019

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara Masanori、Ishii Takaki、Ishida Keita、Toratani Yasuharu、Furubayashi Taku、Matsushita Michio、Fujiyoshi Satoru
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 115 ページ: 033701~033701

    • DOI

      https://doi.org/10.1063/1.5110546

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nanometer Accuracy in Cryogenic Far-Field Localization Microscopy of Individual Molecules2019

    • 著者名/発表者名
      Furubayashi Taku、Ishida Keita、Kashida Hiromu、Nakata Eiji、Morii Takashi、Matsushita Michio、Fujiyoshi Satoru
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry Letters

      巻: 10 ページ: 5841~5846

    • DOI

      https://doi.org/10.1021/acs.jpclett.9b02184

    • 査読あり
  • [学会発表] 三次元カメラ共焦点クライオ(C3)蛍光顕微鏡2019

    • 著者名/発表者名
      藤芳 暁
    • 学会等名
      放射線影響学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 開口数0.93の収差補正クライオ対物鏡の開発2019

    • 著者名/発表者名
      石井啓暉, 虎谷泰靖, 藤原正規, 石田啓太, 藤芳暁, 松下道雄
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] 高開口数蛍光顕微鏡の界面屈折に由来する収差の研究:メニスカスレンズによる収差補正2019

    • 著者名/発表者名
      石田啓太, 藤芳暁, 松下道雄
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] 温度安定化循環水によるクライオ蛍光顕微鏡のナノレベル安定化2019

    • 著者名/発表者名
      滝島研人, 古林琢, 松下道雄, 藤芳暁
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] クライオ蛍光顕微鏡による分子確度イメージングの実現2019

    • 著者名/発表者名
      古林 琢、中田栄司、森井孝、藤芳暁、松下道雄
    • 学会等名
      分子科学討論会
  • [学会発表] 三次元カメラ共焦点顕微鏡によるクライオ1分子イメージング2019

    • 著者名/発表者名
      松田剛、古林 琢、松下道雄、藤芳暁
    • 学会等名
      分子科学討論会
  • [学会発表] DNAオリガミを用いたクライオ超解像蛍光イメージング用色素の探索2019

    • 著者名/発表者名
      溝内雄太、石井啓暉、中田栄司、森井孝、藤芳暁、松下道雄
    • 学会等名
      分子科学討論会
  • [産業財産権] 顕微鏡2020

    • 発明者名
      藤芳暁、石田啓太
    • 権利者名
      藤芳暁、石田啓太
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2020-041367

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公開日: 2021-01-27  

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