研究課題
原子核が持つ永久電気双極子モーメント(核シッフモーメント)を仮定し、それが周辺電子によって遮蔽を受けた実効核シッフモーメントを相対論的量子化学理論によって計算し、核シッフモーメントの探索実験を支援する。核シッフモーメントの存在は、電子の永久電気双極子モーメント(電子EDM)のそれと同様に、小林・益川の標準模型が予測する値よりも大きなCP対称性破壊の証明となるが、その存在は未だ確認されていない。核シッフモーメントについては、Yale大学のDeMilleグループなど幾つかのグループで探索実験が精力的に検討されており、核磁気共鳴(NMR)理論を用いた実験も存在するので、それらの実験的研究を支援するための計算も実施する。2原子分子を用いて電子や原子核の電気双極子モーメント(EDM)の観測がなされている。これらのEDMはCP対称性破れの証拠となるため注目されている。NSMは、CP対称性を破る相互作用により、原子核内の電荷分布が球対称からずれることで生じる。従来の電子状態項では、核上の電子密度の微分値(X)という近似表現が用いられてきた。Gauss型基底を用いた電子状態項の厳密表現を用いて、適切な近似表現を検討した。計算方法はDirac-Coulomb-Fockである。電子状態計算の結果から、NSMの電子状態項を算出した。基底関数としては、核内部についても表現できるように、even-temperedの規定を用いた、計算されたNSMの電子状態項をFittingするために、原点、若しくは原子核半径でのテーラー展開や最小二乗法近似を採用した。最小二乗法近似の場合、原子核内部の電気状態項を全体的にバランスよく再現できた。これにより、従来表現に比べて平均絶対誤差は格段に減少した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
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