研究課題/領域番号 |
19K22177
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (50334339)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
キーワード | セラノスティクス / 超原子価ヨウ素 / イプソ位置換 / アスタチン |
研究実績の概要 |
初年度の検討として、合成の最終盤で、多官能基性の分子骨格に位置選択的に超原子価ヨウ素を導入する手法として、有機ゲルマニウムおよび有機すず化合物のイプソ位置換を実施した。極低温下でヨードニウム転移反応を行うことで、酸化条件に弱い官能基を損なうことなくイプソ位置換を化学選択的に行うことが可能となった。ヨードニウム転移のための反応剤としては、ヨドーニウムトリアセテートおよびトリフルオロアセテートの2種を用いた。中間体の安定性や原料の反応性の差異に応じて二つの反応剤を使い分けることが有効であった。また、温和な反応性を示すヨドーニウムトリアセテートの場合には、活性化剤として含フッ素系アルコールの添加が有効であることを見出し、ヨードニウムイリドを結晶化操作のみで簡便に合成する手法を確立した。さらに、毒性の低い有機ホウ素化合物からのイプソ位置換についても検討を実施し、トリフルオロボレート塩が前駆体として有望であることが判明した。トリフルオロボレート塩を利用した詳細な反応、基質一般性の検討については、2年目に継続して実施する予定にしている。 超原子価ヨウ素の特異な反応性を活かした迅速ハロゲン標識については、アスタチン化について反応条件の検証を実施した。液相条件では、反応溶媒や添加剤の最適化によりアスタチン標識化が実現できることがわかった。 固相担持カートリッジ化に向けての検討としては、固相担持メルドラム酸の合成経路を確立した。今後、固相担持ヨードニウムイリドの評価を実施していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に沿って検討を実施し、ヨードニウム転移反応に成功した。また、アスタチン標識についても予備的検討を行い、特許出願にまでこぎつけた。以上により、順調に成果が上がっていると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
順調に進行しており、当初の計画に沿って固相担持ヨードニウムイリドの合成を実施していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で2月、3月に学外施設にて実施予定であったアスタチン標識化実験ができなくなったため、次年度使用額が発生した。ただし、他の部分を先に検討するなど工夫することで研究計画全体としては順調に進行している。
|