研究実績の概要 |
フローマイクロリアクターを究極の合成反応場としての生体システムとして捉え、連続不斉炭素中心を有するシークエンス高分子を究極の高分子としてのタンパク質に倣い、生体高分子をも凌駕する革新的な高機能性高分子創生に挑戦することを研究目標として、その目的を達成するためには、(1) キラル有機リチウム中間体の生成と反応の高次制御の検討を行った。具体的には、α-位にカルバモイル基を有するキラル有機リチウム中間体の生成と反応制御に取り組んだ。これらの中間体はリチウムが結合している炭素での立体反転(エピマー化)、つまり、立体化学的な安定性への配慮が必須となる。申請者が独自開発した「温度-滞留時間マッピング」により、中間体生成とエピマー化速度の解析を行ったところ、フローマイクロリアクターを使用する本マッピング法を用いることで、反応速度の詳細な解析が可能となり、立体化学的に不安定な中間体の制御ができた。解析結果をもとに、キラル有機リチウム中間体(R1 = Ph, R2 = ph)がラセミ化する前に次の変換反応を行うことができ、エピマー化が非常に速いキラル中間体においては、数秒オーダーの滞留時間制御や超精密温度制御が必須であった。今後、ボロン酸エステルとの反応によるキラルホウ素アート錯体を形成、これをその後のホモロゲーション反応に利用し、これまで合成不可能だった第三級や第四級不斉炭素ボロン酸エステル合成プロセスの確立に検討を進める。
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