研究課題
挑戦的研究(萌芽)
炭素同位体置換キラルアミンを用い、アキラルアルデヒド、シアン化水素を反応させる立体選択的ストレッカー合成を実施した。固体アミノニトリルの不斉増幅を適用した結果、炭素同位体不斉に対応した絶対配置をもつアミノ酸合成中間体アミノニトリルを高立体選択的に合成することに成功した。また、水素同位体置換キラルアミンを用いた実験では、標識ジアステレオマーにごくわずかな溶解度差が存在することを定量的に明らかにした。
有機化学・不斉合成・キラル化学
これまで、不斉自己触媒反応が炭素同位体置換キラル化合物を不斉源とすることのできる唯一の不斉合成反応であった。本研究で明らかにしたエナンチオ選択的アミノ酸合成は、立体化学、不斉合成の見地から極めて挑戦的なキラル化学研究であり、この成果は大きな科学的意義を有する。従来アキラルと認識されてきた化合物の殆どが、天然存在比1.1%の炭素13まで考慮するとキラルになることを再認識させ、さらにはアミノ酸などにみられるホモキラリティの起源として作用し得ることを解明した。