研究課題/領域番号 |
19K22199
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 健太郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40281589)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
キーワード | ナノロッド / 大環状化合物 / テンプレート合成 / 分子ナノチューブ / 修飾界面 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者らが創製してきた分子組織構築が可能な大環状分子を積層し、基盤界面上でナノチューブアレイを形成させること、そのナノチューブをテンプレートとした、高アスペクト比のナノロッドを作成することを目的としている。まず、テンプレートとなるナノチューブのデザインを拡張するために、そのビルティングブロックになる大環状液晶分子の新規合成法を確立した。共有結合型の液晶性大環状化合物は、安定な分子骨格を持つ。一方、環状分子骨格の形成手段として自己組織的な可逆的な結合に基づく自由度を与えることにより、分子デザインの幅が広がり、ナノチューブ形成の多様性を得ることができる。そこで環構造形性に適したビスバイデンテート骨格の金属配位子と平面四配位型金属イオンにより形成される大環状化合物の構築を行った。自己組織型環状物質をカラム状に組織化しナノチャネル形成に繋がる構造を明らかとし論文として報告した。一方、12 nmの内孔を持つ共有結合型の液晶性巨大大環状化合物を配位子とした金属錯体が、アキシャル配位子に大きなπ共役型の配位子を導入することにより、その間の相互作用から結晶性のナノチューブを形成することを明らかとした。また、このナノチューブに小分子を内包させることができること、その分子内包によりナノチューブ構造のフレキシブルな制御が行えることを見出した。これらの成果は、論文や国際会議における招待講演において報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究構想は、ナノチューブのビルディングブロックとなる大環状化合物の創製とナノチューブの構築および構造解析、ナノチューブ内でのナノロッド合成の方法論確立のの各段階を達成することにある。初年度目は、ナノチューブのビルディングブロックとなる新規大環状化合物の合成法を見出すことにより第一段階目の検討を行った。また、すでに合成法が確立している大環状化合物を用いたナノチューブ合成とゲストの内包について検討を行った。よって、研究は、順調に進捗していると考える事ができる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで検討した知見を用い、ナノチューブの界面上での分子組織化を行う。ナノチューブは有機化学的および錯体化学的に一義的な構造として合成するため、ナノチューブ内部のサイズや形状を自由にデザインすることが出来る。また、ナノチューブの配列組織化は、テンプレートとなる二次元結晶の結晶構造が鍵となる。その構造は、大環状化合物の形状だけでなく、大環状化合物から放射状に伸びる側鎖によっても制御が可能であるため、ナノチューブのパッキング構造もデザインが可能である。組織化の方法を検討することで、ナノチューブが作る界面上でのテンプレート空間を任意に構築し、その制限された内部空間を利用したナノロッド生成を行う。また、ナノロッド界面の機能創製を行う。
|