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2020 年度 実施状況報告書

電気化学的アミノ酸合成を実現するための複合無機ナノ触媒の創製

研究課題

研究課題/領域番号 19K22205
研究機関九州大学

研究代表者

山内 美穂  九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (10372749)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードアミノ酸 / TiO2 / グリシン / シュウ酸 / 電気化学
研究実績の概要

再生可能エネルギー由来の電気エネルギーを使ってアミノ酸を合成するための複合無機ナノ触媒の創製と電気化学反応システムの構築を行うことを目的とする。これまでに、ヒドロキシルアミン存在下、アナターゼ型TiO2電極を用いて、アルファ-ケト酸を電気学的に還元することで9種類のアミノ酸を高選択的に(高いファラデー効率で)効率よく合成できることが明らかにしている。本年度は、バイオマスから容易に製造することができるシュウ酸を原料とするアミノ酸(グリシン)合成に挑戦した。
様々な金属板やその酸化物上でのシュウ酸からのグリシン合成を行ったところ、アナターゼTiO2や焼成チタン板がグリシン合成に活性を示すことが明らかになった。これは、シュウ酸から電気化学的にグリシンを合成した初めての結果である。また、チタン版の焼成時間を短くすることでグリシン合成のファラデー効率が増大することがわかった。シュウ酸が2電子還元されるとグリオキシル酸さらに2電子還元されるとグリコール酸が生成する。グリオキシル酸がヒドロキシルアミンと反応するとグリシンの原料となるグリオキシル酸オキシムが生成する。一方で、この反応系では、ヒドロキシルアミンの還元反応によるアンモニア生成も進行する。焼成時間を短くして作製した焼成チタン板上でグリシンが効率よく生成したのは、Ti板上に生成するTiO2の厚みが薄くなるとヒドロキシルアミンの生成が起こる前に効率よくシュウ酸の2電子還元が進むためであると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでに、アルファケト酸から9種類の電気化学的アミノ酸合成しているとともに、シュウ酸からのグリシン合成も実現した。

今後の研究の推進方策

本年度の研究によりグリシンの生成効率を増大させるためにはヒドロキシルアミンの還元よりも選択的にシュウ酸を還元してグオキシル酸を生成する触媒の作製が重要であることがわかった。今後、多様な複合酸化物を作製して高選択的アミノ酸合成を達成する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Multiscale design for high-performance glycolic acid electro-synthesis cell: Preparation of nanoscale-IrO2-applied Ti anode and optimization of cell assembling2020

    • 著者名/発表者名
      Fukushima Takashi、Higashi Manabu、Kitano Sho、Sugiyama Takeharu、Yamauchi Miho
    • 雑誌名

      Catalysis Today

      巻: 351 ページ: 12~20

    • DOI

      10.1016/j.cattod.2019.03.071

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrosynthesis of glycine from bio-derivable oxalic acid2020

    • 著者名/発表者名
      Fukushima Takashi、Yamauchi Miho
    • 雑誌名

      Journal of Applied Electrochemistry

      巻: 51 ページ: 99~106

    • DOI

      10.1007/s10800-020-01428-x

    • 査読あり
  • [学会発表] 高効率物質変換のための無機ナノ粒子触媒の創製2020

    • 著者名/発表者名
      山内美穂
    • 学会等名
      "日本物理学会2020年秋季大会 領域9, 領域1, 領域7, 領域10, 領域11シンポジウム ハイロドジェノミクスー変幻自在な水素を活かすサイエンス"
    • 招待講演
  • [図書] アルコール溶液をキャリアとする高効率蓄電システム2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 貴, 北野翔, 山内 美穂
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      クリーンテクノロジー, 解説, 日本工業出版
  • [図書] 水とバイオマスからアミノ酸をつくる!-発酵より簡便で既存の化学合成法より安全な合成プロセス2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 貴, 山内 美穂
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      月刊「化学」, 解説, 化学同人
  • [図書] 電気エネルギーを用いたバイオマス由来カルボン酸と水からの高効率なアミノ酸合成2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 貴, 山内 美穂
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      クリーンエネルギー, テクニカルレポート, 日本工業出版
  • [図書] a-ケト酸の電気化学的還元による効率的アミノ酸合成法2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 貴, 山内 美穂
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      バイオサイエンスとインダストリー(B&I), トピックス, (一財)バイオインダストリー協会
  • [産業財産権] 電極触媒およびアミン化合物の製造方法2020

    • 発明者名
      山内美穂、福嶋貴、赤井翔
    • 権利者名
      山内美穂、福嶋貴、赤井翔
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2020/ 8535
    • 外国

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公開日: 2021-12-27  

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