再生可能エネルギーから作られる電力をエネルギー源として、環境負荷の少ない原料から有用物質の作製することは、持続可能な社会の実現に大きく貢献するものと考えられる。本研究では、再生可能エネルギー由来の電気エネルギーを使ってアミノ酸を合成するための複合無機ナノ触媒の創製と電気化学反応システムの構築を行う。アミノ酸は、アミノ基とカルボキシ基の両方の官能基を持つ有機化合物である。これまでに、カルボキシ基を有するアルファーケト酸からアミノ基前駆体としてヒドロキシアミンを用いることで、電気化学的にアミノ酸を合成できることを明らかにした。また、2価カルボン酸であるシュウ酸とヒドロキシアミンからもアミノ酸が合成できることを明らかにし、論文発表を行った。さらに、昨年度からはヒドロキシアミンよりも汎用的に用いることができる、硝酸イオンを窒素源としてもちい、その電気化学的還元で得られる中間体をアルファケト酸と作用させることで高効率のアミノ酸合成する新システムの構築に取り組んでいる。硝酸水溶液を導入した固体電極上で還元反応を行うと、高い選択率でアンモニアが生成することを確認した。さらに、硝酸イオンのNに電子が供与されやすい状況を作り出し硝酸還元を促進するため、新規に遷移金属を固溶した複合二酸化チタン触媒の作製を行った。作製した複合二酸化チタン触媒は異なるイオン化エネルギーを持つため、含有する遷移金属に依存する新規の反応特性を示すと期待される。
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