本研究では、これまで未知であった2,3-ジヒドロキシフェニルボロン酸ユニットの繰返し構造をもち、π電子系が密に充填した二次元構造体の合成研究を行った。「単量体」である環状四量体の合成、精製、構造同定に成功し、そこから得た合成と構造の知見を基に、二次元構造体の合成に挑んだ。結果的には完全な単離・同定に至っていないが、前駆体の合成法の確立や種々の条件下で構造体合成を試みた結果、目的物に類似した生成物を得た。二次元構造体は難溶性のため同定手法は限られるが、本研究ではモデル化合物の理論計算によりIRやXRDの結果の予測や実測値と比較し同定を試みることで、目的物の存在の可能性を掴むことができた。
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