研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、遷移金属やハロゲンを必要とせず、共鳴による反応性差をトリガーとしたπ共役系高分子材料の精密合成の一般的手法の確立を目的とした。実際に、アニオン性モノマーの分子内共鳴効果を利用したアルドール縮合反応に基づく新しい重縮合法の開発により、半導体高分子のポリ(オキシンドリデンチエニレンビニレン) (POTV) の合成に成功した。POTVを使用した有機電界効果トランジスタ (OFET) は、良好な半導体特性(ホール移動度: 2.24×10-4 cm2/V/sのp型特性を示した。
高分子合成
本研究で開発した合成手法により得られるポリマー材料は、残存遷移金属およびハロゲンが本質的にゼロであるため、従来法で得られるポリマー材料よりも電荷輸送トラップが少なく、高い電荷移動度をもつ有機トランジスタへの応用が期待できる。また半導体高分子材料の分子量や分子量分布は、それら機能に多大な影響を及ぼすため、π共役系高分子の合成において、遷移金属・ハロゲンフリー系かつリビング重合系の方法論の確立は学術上大きな意義を有する。