研究課題
本研究では、3次元グラフェンをベースとした3次元フォトニックグラフェンナノ構造を作成し、高効率のプラズモン変換と高強度のプラズモン再輻射場での2光子吸収を利用することで、太陽光赤外領域での酸化チタンによる光触媒反応による高効率の水素生成を目指した。3次元グラフェン自体の触媒活性についての研究は順調に進展その結果は論文として出版した。特に、Niをドープした3次元グラフェンに於いて顕著な水素還元触媒として機能することが解った。しかしながら、初年度研究においてプラズモン吸収を実現するためには100nm以下の微細な共鳴構造が必要となるが、大面積共鳴構造の3次元グラフェン形成が極めて困難であることが判明した。そこで、金やアルミ膜を用いたナノ加工構造形成技術を用いたプラズモン共鳴構造を作成し、金属膜からのプラズモンの輻射特性を利用した高効率光触媒反応の検証に研究方向を修正した。プラズモン集光デバイスの設計では、電磁界解析ソフトCSTシミュレータを用いて、プラズモン集光デバイスの変換効率と波長依存性を検証しながら最適なプラズモン集光デバイスを設計した。380nmより長い波長領域においては、周期が100~300nm程度のゾーンプレート型構造において高効率のプラズモン変換効率が得られ、ゾーン中央の200nm程度の凹型ディップから良好なプラズモン再輻射を得られることが判明した。このデバイスの石英基板背面からTiO2のエネルギーギャップEg=3.2eV(385nm)以上の波を除去し、Eg以下の光による2光子吸収に基づく光触媒活性を調べた。その結果、Eg以下のエネルギー帯の自然光でも水素発生に対する有効な光触媒活性が得られることが解った。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 12 ページ: 203(9)
10.1038/s41467-020-20503-7
Advanced Functional Materials
巻: 23 ページ: 2103632(7)
10.1002/adfm.202103632
http://www.bk.tsukuba.ac.jp/~nanofab/Research_index.html