研究実績の概要 |
本年度はまず、新たに発見したZ3-Fe(Pd,In)3ナノ粒子の生成過程について詳細に検討し、各原子の拡散経路を最適化することにより、600°C程度でZ3構造が形成することを明らかにした。また、Z3-Fe(Pd,In)3ナノ粒子の発見・合成をさらに発展させ、微量金属元素置換により三元素間相溶性の差異を誘起した新たなPt-Ir-Fe合金ナノ粒子の構造制御を行った。Feとは固溶するがPtとは固溶しないIrを微少量添加することにより、等方性L12構造と異方性L10構造の中間のような新規合金構造が生成することを見出した。 研究期間全体を通じて、Z3-Fe(Pd,In)3構造ならびに等方性L12構造と異方性L10構造の中間的Pt-Ir-Fe合金構造を合成することに成功し、ナノ粒子の構造変換により得られる新奇結晶相が、一段合成で得られるナノ粒子にはない興味深い結晶構造・物性をもつことを実証した。特に、無機物質の異方結晶構造に基づく異方的機能の発現は、高性能・高効率材料創製の観点から極めて興味深いものである。Z3-Fe(Pd,In)3ナノ粒子の成果は、Nature Communicationsに掲載され、Trends in ChemistryにReview論文” Stabilization of Unprecedented Crystal Phases of Metal Nanomaterials”として発表した。
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