研究課題
本研究課題では、長鎖DNAの反応解析に存在する構造上の問題点を解消してゲノム機能研究への発展を誘起するために、人工的なミニ染色体モデルの作製とその作製の要素技術を構築することを目指して合成研究を進めた。さらに、獲得したミニ染色体モデルを用いて、構造解析と化学反応解析を進めて、生物機能における染色体構造の役割を明らかにすることを目指した。われわれは、まずヌクレオソーム構造を得るための簡便な大型ペプチド鎖合成法を開拓し、これを用いて化学修飾を含むヒストンタンパク質を完全に化学合成した。また、エピジェネティック修飾としてのアセチル化、メチル化、リン酸化や蛍光標識などの人工修飾を箇所特異的に含んだヒストンを全合成した。これらのヒストンタンパク質と長鎖DNAを用いてヌクレオソームの再構成をおこない、これらの人工ヌクレオソームの構造や熱力学安定性について明らかにした。また、これらの人工ヌクレオソームをクライオ電子顕微鏡で観察し、DNA二重らせんがコアヒストンに強力に巻き付いている構造を観察した。さらには、リンカーヒストンH1の修飾体の合成法も確立した。いっぽう、末端に20bpの突出末端を含む193bp長単位でDNA2種類を合成した。ヒストンオクタマーと共にヌクレオソームを構成できた。現在、これら2種類の単位ヌクレオソームを配列順に順次、好熱性HiFi Taq DNA リガーゼを用いて連結する方法を試みている段階であり、ミニ染色体モデルの革新的な作成法を確立する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件) 学会発表 (13件)
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