前年度までに開発に成功している高速の蛍光明滅が可能なDeQODE タグとQODEプローブの組み合わせを用いて、生細胞でDeQODEシステムを用いた超解像イメージングの実用性を評価する実証研究を実施した。まず、COS7細胞での小胞体の超解像イメージングを試みた。遺伝子導入によって、生きたCOS7細胞内の小胞体に小胞体局在シグナル配列を付加したDeQODEタグを発現させた。この細胞にQODEプローブを負荷することによって、高精細な蛍光明滅を惹起できることが確認できた。QODEプローブの蛍光明滅の蛍光像を1分子蛍光イメージングによって連続的に取得し、3万枚の高精細な輝点画像から蛍光輝点像を基にした超解像イメージを再構成し、20秒の時間分解能で小胞体の超解像イメージングができることを示した。続いて、培養海馬神経細胞のシナプスに局在するHomer-1の超解像イメージングを試みた。Homer1に結合するナノボディーにDeQODEタグを付加してアデノ随伴ウイルスによって培養海馬神経細胞に結合させ、この細胞にQODEプローブを負荷することによって生じる蛍光輝点からHomer1の超解像イメージを連続的に取得することができた。本研究で確立したDeQODEシステムを用いた超解像顕微鏡法は、DeQODEタグを付加した分子を生きた細胞内に発現させることによって多くの機能性分子の超解像イメージングに幅広く適用することが可能であり、多様な生命科学・基礎医学研究への今後の応用が進むことが期待できる。
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