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2020 年度 実施状況報告書

甲虫上翅のキチン繊維の配向制御機構の解析と構造材料開発への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K22248
研究機関東京農工大学

研究代表者

新垣 篤史  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10367154)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードタンパク質 / キチン / 甲虫 / 構造材料
研究実績の概要

甲虫の上翅は、外敵から柔らかい組織を保護するための防御機能を有する他、飛翔の際のバランサーの役割を果たしており、軽量さと頑丈さを併せ持つ材料として、航空機、ロボット等の産業分野において注目を集めている。本研究では、甲虫上翅の機械特性の向上に関わるドラスティックな表皮構造変化の分子機構の解明を目的としている。本年度は、甲虫の上翅から同定された表皮タンパク質のアミノ酸配列による分類と上翅形成過程における遺伝子発現解析を行った。
1.上翅の形成過程で発現する表皮タンパク質の分類:前年度に同定した硬化前後の上翅に含まれる表皮タンパク質のアミノ酸配列の詳細な解析を行った。その結果、キチン結合ドメインの前後領域に特徴的な配列が見出され、これに基づき大きく2グループのタンパク質に分類可能なことを示した。これらの領域は共にランダムコイル構造を持ち、上翅の硬化前後において発現が異なることを明らかにした。
2.上翅形成過程における表皮タンパク質遺伝子の発現解析:上翅の構造形成に関わるタンパク質を明らかにするため、硬化前後の上翅からRNAを抽出し、表皮タンパク質群の発現量の変化を解析した。発現パターンに基づき、表皮タンパク質遺伝子群を3グループに分類することができた。この結果は、1で同定されたタンパク質の発現と相関が見られ、それぞれが上翅の異なる形成段階において発現し、異なる部位や構造の形成に寄与していることが示唆された。
3.リコンビナントタンパク質の調製と機能解析:表皮タンパク質の機能解析に向けて、1、2で同定された表皮タンパク質遺伝子のリコンビナントの調製を行った。無細胞合成系において、その調製に成功し、キチン結合能評価などの機能解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画通り、硬化前と硬化後の表皮に含まれるタンパク質の特徴を見出し、新しいタンパク質グループの存在を示した。硬化前後における発現との相関があることも明らかにした。タンパク質機能解析に向けた準備も整っており、当初の研究目的に向けて、おおむね計画通り順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

前年度に同定されたタンパク質のリコンビナントを調製し、機能解析と材料の調製を行う。
1.タンパク質を利用したキチン配向制御
2.キチン/タンパク質複合体材料の作製と解析

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Toughening Mechanisms of the Elytra of the Diabolical Ironclad Beetle2020

    • 著者名/発表者名
      Jesus Rivera, Maryam Sadat Hosseini, David Restrepo, Satoshi Murata , Drago Vasile, Dilworth Y Parkinson, Harold S Barnard, Atsushi Arakaki, Pablo Zavattieri, David Kisailus
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 586 ページ: 543-548

    • DOI

      10.1038/s41586-020-03106-6

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Radular Stylus of Cryptochiton Stelleri: A Multifunctional Lightweight and Flexible Fiber-Reinforced Composite2020

    • 著者名/発表者名
      Anna Pohl, Steven A. Herrera, David Restrepo, Ryo Negishi, Jae-Young Jung, Chris Salinas, Richard Wuhrer, Tomoko Yoshino, Joanna McKittrick, Atsushi Arakaki, Michiko Nemoto, Pablo Zavattieri, David Kisailus
    • 雑誌名

      J Mech Behav Biomed Mater

      巻: 111 ページ: 103991

    • DOI

      10.1016/j.jmbbm.2020.103991

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] キチン積層構造形成機構の解明に向けた甲虫上翅のプロテオーム解析2020

    • 著者名/発表者名
      村田智志
    • 学会等名
      第10回CSJ化学フェスタ2020
  • [学会発表] Multiscale architectures in the exoskeletal armor of a crush resistant insect2020

    • 著者名/発表者名
      Jesus Rivera
    • 学会等名
      TMS 2020 Annual Meeting & Exhibition
  • [備考] 東京農工大学生命工学科 生命分子工学・海洋生命工学研究室

    • URL

      http://web.tuat.ac.jp/~biomol/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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