タンパク質の近傍空間を化学構造体により取り囲む、すなわち空間的な修飾を施すアプローチにより、内部に包接したタンパク質を安定化、その構造解析を行う事を目指した。モデルタンパク質としてクチナーゼ様タンパク質を用いその安定化効果を検討したところ、熱、変性剤、有機溶剤に対して著しい安定化が得られた。特に有機溶剤に対しては1000倍を超える安定化効果が得られた。有機溶剤濃度を90%まで上昇させ室温で静置した所、内部のタンパク質の変性は観測されたものの、凝集等が生じることもなく、有機溶剤濃度を低下させれば再びリフォールディングが生じた。すなわち仮説通り、フォールディングの中間状態安定化に成功した。
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