本研究は、タンパク質の機能や構造を人工的にデザインしコントロールすることで、ライフサイエンス・バイオテクノロジー分野において活躍する「必要なとき、必要な機能を自発的に発動することができるバイオナノロボット」の創成を最終的な目標としている。その足がかりとなる本萌芽研究では、「シンプルなデザインによる人工タンパク質集合体」へ「天然タンパク質由来の機能性」を取り入れることで、人工的に機能制御可能とする「機能性を有したタンパク質集合体 (機能性バイオマテリアル)」の創成を目指し研究を推進している。 本年度は昨年度、作製に至らなかった「天然タンパク質由来の機能性」を取り入れた集合体の創生を引き続き行なった。昨年度に作製した機能を有するタンパク質パーツを基盤に遺伝子工学により、タンパク質の改変を行い集合体の形成を試みたが、顕著な改善は見られず研究開始時に想定していた機能性集合体の形成には至らなかった。しかし、本研究のアイデアをもとに昨年度より並行し進めていた、新たな集合体形成デザインにおいて初期段階ではあるが、様々な集合体形成を確認することに成功した。このデザインを発展させることで、本研究の目的である機能を有した集合体構築も可能になることが想定される。そのため現在は、機能搭載を視野に入れ、新規集合体形成デザインを確立するべく研究を推進している。 上述の通り、当初の研究計画は難航してしまったが、本研究を進めていったことで今後、申請者が研究を進めていくにあたり、重要となる研究の芽を生み出すことが出来た。採択時は研究スペースの獲得から1人で研究室を立ち上げていく状態であった。そのため、本萌芽研究の助成をもとに研究機器の充足、また様々な検討を行うことが出来、上記の成果を生み出すことができた。本研究を継続し、申請者の最終目標であるバイオナノロボットの創生を目指し研究を推進する所存である。
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