本研究では、動的な構造変化を伴う誘導適合型の低分子-RNA結合の本質的な理解を狙った。構造解析された低分子DANPとCバルジ複合体について、シトシンバルジの対面にあるDANPを、水素結合と直角方向に適当な距離で引き離した初期構造を発生し、その構造からの安定構造をシミュレーションにより求めた。その結果、元の構造に戻らなくなる座標、すなわち、複合体構造が形成するまでに複数の遷移状態が存在することが明らかとなり、精密構造解析による遷移状態の構造の手がかりを得た。量子化学計算用のパラメーター導出を行い、密度汎関数法のwb97xd/6-31+gdレベルでの構造最適化を、水中で実施した。
|