研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、特定の波長の光を照射することで蛍光をスイッチングさせるプローブの開発に取り組んだ。優れた光異性化能を有するアリルアゾピラゾール(AAP)を消光基と蛍光色素の位置制御に用いたSCプローブの合成と評価を行い、SC1では約60%、SC2、SC3では約40%の蛍光強度のスイッチングを達成した。さらに、繰り返し光照射を行った際にも安定的に蛍光スイッチングを起こすことが確認され、高い光安定性を有する蛍光スイッチングプローブの開発に成功した。
ケミカルバイオロジー
蛍光スイッチング分子は、光照射により蛍光強度を制御できる性質を持ち、超解像顕微鏡法で、光の回折分解能を越えて生体分子の局在を可視化するために用いられる。これらの分子を用いた超解像顕微鏡による生物学研究への応用においては添加剤の使用や光安定性の欠如など未だ課題があったが、今回開発した分子スイッチングのメカニズムを利用することで、添加剤フリーで蛍光強度が繰り返し変化することが明らかとなり、今後の超解像イメージングに応用することで、長時間の微細構造の観察による生命科学研究の進展が期待される。