研究課題
DNAやRNAのグローバルな構造を操ってその塩基配列を可逆的にスプライシング(編集)する。具体的には標的とする生理活性分子、及び内在性、または細胞導 入した短いDNAやmiRNA等を鋳型にして修飾DNAやmRNAの配列の一部をつまみ出し、一次構造においては互いに離れた二箇所を繋ぎ留めてΩ型構造を形成させることができる。グアニンの連続配列は非常に安定なグアニン4重鎖(G4)構造を形成することが知られているが、この配列を分断したスプリット4配列にΩ構造を誘導しグアニン4重鎖(G4)構造を形成させることで当該遺伝子の発現制御ができないか検討を行った。具体的には、短鎖核酸(ステープル核酸)を用いてmRNAの5'UTRにG4構造を誘起し、リボソームの進行を止めることで遺伝子発現制御に成功した。in vitroの系においては様々な人工遺伝子について本原理の有効性を確認することができた。逆転写酵素を使ったストップアッセイ、G4構造に結合して蛍光を発するThTを使った実験によって結果を裏付けることもできた。本原理には一般性があり、与えられた遺伝子に対してステープル核酸を設計することもできるし(遺伝子発現制御、すなわち核酸医薬の必要条件)、逆に特定のステープル核酸に対してスプリットG4配列を有するmRNAを設計する(核酸検出、特にmiRNAの高感度検出のための必要条件)ことも可能であった。さらに、天然の遺伝子に対しても、in vitro、およびin cellにおいて遺伝子発現を抑制できることを示した。さらに、本学医学部との共同研究によりTrpc6を高発現している心臓病の病態マウスを使ってin vivoの遺伝子制御においても期待した成果を得ることができた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Analytical Sciences
巻: 37 ページ: 533~537
10.2116/analsci.20SCN04
Talanta
巻: 228 ページ: 122239
10.1016/j.talanta.2021.122239
ACS Chem. Biol.
巻: 16 ページ: 731-739
10.1021/acschembio.1c00027