研究実績の概要 |
本研究は、医療診断分野で広く用いられている抗体分子に関して、その製造コストの問題を解決するために、「抗体がもつ特長を全て備えつつ、さらにこれを凌駕した機能をもつ『人工抗体』を、タンパク質以外をつかって構築する」ことを目的とする。そのために、研究代表者が世界に先駆けて独自に開発した「ター ゲット分子を挟むように結合することでX字型の開いた構造から=字型の閉じた構造(パラレル型)に変形するDNAオリガミ分子機械(Nature Commun. 2011, 2, 449)」を本体に使用することで、DNAでできた「人工抗体」を構築する。具体的には、免疫染色やELISAでも用いられる実践的なターゲットを認識する「基質認識 部位」、およびDNAオリガミ分子機械の構造変化を蛍光や酵素活性として検出するための「シグナル発信部位」を、応募者独自のDNAオリガミ分子機械に組み込むことで、世界に類例のない「アロステリック人工抗体」の実用化をめざす。2021年度は、2020年度に引き続いて研究協力者より提供いただいた抗体断片Fabに関して、DNAオリガミ分子機械を構成するDNA鎖の末端に導入したジベンゾシクロオクチン(DBCO)基と、抗体断片に導入したアジド基との間での銅イオンフリークリック反応について検討を行った。その結果、DNAオリガミ構造体に抗体断片が導入されていることを原子間力顕微鏡(AFM)で確認することに成功した。
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