研究課題
ヒト体臭の多様性がスクアレンの酸化に起因することの証明に向け、昨年度に引き続き、スクアレン酸化物の種々の異性体を化学合成し、試験管試験(体温や湿度など実際の生活環境下を模した条件でインキュベート)による評価を進めた。生じる種々の臭気成分の化学構造や生成経路の一部を推定した。スクアレンの酸化抑制による体臭の制御に向けて、当初は動物実験により評価を進めることを計画していたが、新型コロナウイルスの影響で令和2年度に動物試験を実施するのが難しかったので、ヒト試験を中心に評価を進めた。具体的には、スクアレンとともに皮脂の主要構成脂質である脂肪酸にも着目し、スクアレンと脂肪酸の酸化物が体臭に与える影響を比較検討した。ヒト皮脂中におけるスクアレンの酸化物と脂肪酸の酸化物をLC-MS/MSで定量的に評価し、スクアレンと脂肪酸は皮脂中で異なるメカニズムで酸化されていることを初めて明らかにした。この結果は、体臭の制御法を構築する上で極めて重要であり、臭気成分をGC-MSで分析し、試験管試験の結果との相同性評価をさらに進めていく。さらに、種々の抗酸化物質がスクアレンや脂肪酸の酸化を抑制でき、さらには抗酸化物質の選択で特定の異性体の生成を抑えられることを見出しつつあり、生成抑制に最適な抗酸化物質の探索を実施した。
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Ann. N.Y. Acad. Sci.
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