研究課題
テトロドトキシン(TTX)は海洋ではフグ、カニ、タコなど、また陸上ではイモリ、カエルに存在する。起源生物は細菌としているが、どこで膨大なTTXが生産されるのか、なぜ、広範な生物が毒化するのかわかっていない。また、生合成遺伝子も未解明である。これまで、2017年と2018年に東日本の湾で、浮遊物以外海底から直接アクセスするものがない、海水中に吊して養殖されたホタテガイを1年間継続的に分析し、TTXは8月下旬から10月下旬にかけてピークを示した。また、ホタテガイの麻痺性貝毒の毒量のピークは、麻痺性貝毒生産渦鞭毛藻Alexandrium catenella (Group I)(旧A. tamarense)の細胞密度とパラレルな関係が示され、ホタテガイのTTX濃度とは、関係が示されないことも繰り返された。本年度も2019年度の同地点のホタテガイについて、同様に1年間定期的に採集して分析した。その結果、2017年度, 2018年度とほぼ同じ時期にTTXを微量に含有することを明らかにした。3年間、類似した現象が年周期で繰り返され、ホタテガイのTTXは、麻痺性貝毒とは別の要因により、蓄積される可能性があることを再度確認した。この結果は、児玉ら(Toxicon 1996)の結果と異なっている。また、A. catenella (Group I)やA. pacificum (Group IV)をそれぞれ培養し、TTXをLC/MS分析したが検出されなかった。これらのことから、当初海底土壌中から検出されたTTXは麻痺性貝毒生産渦鞭毛藻のシストに起因しないことが示唆された。また、海底付近の微小生物の採集を十数回行い、顕微鏡観察、TTXの分析、および一部のサンプルのDNA抽出、メタバーコード解析を行った。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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