研究課題/領域番号 |
19K22269
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 教授 (00571788)
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研究分担者 |
折原 貴道 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 学芸員 (30614945)
前田 太郎 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 特別協力研究員 (50631404)
山本 航平 栃木県立博物館, 学芸部自然課, 学芸嘱託員 (60806248)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | アーバスキュラー菌根菌 / 胞子果 / SSRマーカー |
研究実績の概要 |
多くの植物と共生するアーバスキュラー菌根(AM)菌ではこれまでに有性生殖体が確認されていない。しかし、近年のゲノム解析から、AM菌には二核共存体(ダイカリオン)と同核共存体(ホモカリオン)が存在することが明らかとなり、AM菌でも有性生殖が行われている可能性が強く示唆されている。AM菌は通常単胞子を土壌中に形成するが、種によっては胞子果(胞子の塊)の形成が知られており、我々はこの胞子果がAM菌の有性生殖体なのではないかとの仮説を立て、その可能性を検証する研究を進めている。 もし胞子果が有性生殖体であるならば、胞子果を形成するそれぞれの胞子に遺伝子型の違いが見られるはずである。今年度はRhizophagus irregularisと同定された胞子果を5月に採取し、この胞子サンプルを対象として遺伝子型確認のための共優性マーカーの作成を行なった。R. irregularisにはモデル菌株DAOM197198が存在し、ゲノムが解析されていることから、このゲノム情報を元にsimple sequence repeat(SSR)部位を選定した。46のSSR部位について、プライマーを設計し、DAOM197198とR. irregularis胞子果の抽出DNAを対象にフラグメント解析を行い、共優性マーカーとして使用可能なSSRマーカーの選別を進めている。 また、遺伝子型解析のためには単胞子由来の菌株を作成し、DNA解析を行う必要がある。このため、ニンジン毛状根を用いた培養系と近年報告された脂肪酸を炭素源として用いた単独培養について検討を進めている。いずれの培養系についてもDAOM197198では培養に成功したが、胞子果由来の胞子では今のところ毛状根への菌根形成が成立していない。胞子果胞子の脂肪酸培養系への適用については今後実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子型解析のための共優性マーカーの作成を行なったが、単胞子由来の菌株を毛状根培養系で作成することができなかった。このため昨年度は遺伝子型の解析までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
新たに採取する胞子果を対象として脂肪酸培養系を適用し、菌株作成の元、遺伝子型の解析を行う予定である。 また、対象種を拡げ、引き続きSSRマーカーの開発と単胞子由来の菌株培養を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
単胞子培養が成功せず、遺伝子型の解析を実施する研究段階に至らなかったため。今年度は培養条件を検討し、単胞子培養菌株を作成して遺伝子型の解析を行う予定である。
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