研究実績の概要 |
分子量が400-4,000程度の「中分子」は医薬品,農薬など次世代を担う生物活性物質候補群として注目されている.このような背景の中,これら中分子をいかにして効率的かつ網羅的に得ることができるかが重要な課題になっている.中分子は通常,天然高分子の断片またはその一部の類縁体としての位置づけから,ペプチド,核酸,糖鎖,またはその複合体が基本構成要素となる.本研究は,申請者がこれまでの研究で開発した逆ミセル反応法を基盤として発展させることにより,1サイクルあたり理論上10兆種類のペプチド等モル混合物を迅速かつ効率的に得るための新しい化学プロセスを確立することを目的とする. 独自に開発した逆ミセルを形成する可溶性タグに対しアミノ酸をランダムに10回反応させることにより,1容器内に10merのペプチド混合物を効率良く得た.このときアミノ酸の種類によって反応性がそれぞれ異なるため,20種類のアミノ酸を混合物として反応させることなく,一段階毎に20種類それぞれのアミノ酸を活性化した容器に可溶性タグ溶液を等量分注し個別に反応を行った.20個の反応容器においてそれぞれの反応完結に要する時間は15分程度であったが,これら全ての完了をTLCで確認後,過剰のアミノ酸や試薬の洗浄後,20容器の溶液をすべて一つの容器に混合した.その後も同様に混合液を20等分→各アミノ酸との個別反応→洗浄→混合を繰り返すことにより、ペプチド毎の生産量の均等性の確保を実現した.
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