研究課題/領域番号 |
19K22279
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木岡 紀幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (90234179)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 接着斑 / 細胞外マトリックス / 細胞膜 |
研究実績の概要 |
生体内ではコラーゲンをはじめとする細胞外基質が動物細胞を取り囲んでいる。この細胞外基質の種類や濃度、硬さなどの細胞外環境が、炎症や脂肪細胞分化、がん細胞遊走などの細胞機能を調節している。細胞外環境の感知と情報伝達には、細胞と細胞外基質との接着部位に形成される巨大複合体接着斑が重要であり、これまでに、接着斑局在タンパク質(細胞外基質受容体やキナーゼ)の重要性が示され、接着斑タンパク質を抑制することでがんや炎症性疾患、硬化症の治療が試みられている。一方で接着斑のもう一つの主要な構成因子である接着斑細胞膜はこれまでほぼ完全に見過ごされてきた。最近、申請者らは細胞外基質の硬さにより接着斑タンパク質が脂質ラフト膜(界面活性剤不溶性膜)に増加することを示し、そのことが細胞外基質の硬さによる細胞遊走の調節に必要なことを見出した。そのことから、接着斑の機能には接着斑細胞膜脂質が重要であると考え、その検証を行っている。 今年度は、これまでに確立した新たな手法により細胞膜を単離してそこから脂質を抽出し、これを接着斑細胞膜と比較する実験をおこなった。質量分析法によりそれぞれの画分に含まれるホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンの持つアシル鎖について解析し、接着斑画分は他画分に比べて脂質の組成が異なっていることを示唆する結果を得つつある。これについては引き続き確認する予定である。また接着斑細胞膜を改変する実験系を構築するために、脂質修飾酵素を接着斑に一過的に局在化させようとしており、本年度は脂質修飾酵素の一部の領域を一過的局在化システムに用いることで、脂質修飾酵素を一過的に接着斑に局在化させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は接着斑細胞膜と細胞膜画分の脂質組成を比較する実験を開始し、結果を得つつある。一方で、コロナ禍の影響で必要な器具の搬入が滞り、また共同研究者との共同研究に支障がでるなどの理由により、若干の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
接着斑細胞膜と比較対象の細胞膜画分を単離する実験系の構築に成功し、脂質組成の比較を始めているので、22年度は本実験を引き続き行うとともに他細胞の接着斑の組成や細胞内張力を変化させたときの脂質組成について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で必要な器具の搬入が滞り、また共同研究者との共同研究に支障がでるなどの理由により、研究に若干の遅れが生じた。そのために物品費の執行などが進まず、次年度に進めることにした。
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