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2020 年度 実施状況報告書

光合成CO2固定代謝の進化的分子基盤の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K22281
研究機関神戸大学

研究代表者

蘆田 弘樹  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50362851)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードRuBisCO / アーキア / カルビンサイクル
研究実績の概要

光合成を行わないメタン生成アーキアが有する光合成カルビンサイクルの進化的原型代謝回路の機能解析を行うため、この代謝回路でCO2固定反応を触媒するRuBisCOの酵素学的特性を解析した。メタン生成アーキアRuBisCOの大腸菌発現系を構築し、アフィニティータグ精製を行ったリコンビナントRuBisCOを用いて、CO2/O2反応比特異性係数を解析した。CO2/O2反応比特異性係数は、CO2とO2が同濃度溶解している反応系において、RuBisCOがカルボキシラーゼ反応とオキシゲナーゼ反応を触媒する比を示し、この酵素の機能評価のための主要なパラメータである。CO2/O2反応比特異性係数は、大気CO2、O2濃度下でRuBisCOを反応させ、カルボキシラーゼ反応生成物とオキシゲナーゼ反応生成物をHPLCにより定量することにより、それらの生成比から解析した。その結果、メタン生成アーキアRuBisCOは、これまでに報告されているどのRuBisCOよりも低いCO2/O2反応比特異性係数を示し、O2反応性の高い光合成細菌RuBisCOの1/24、シアノバクテリアRuBisCOの1/80、植物RuBisCOの1/160であった。これらの結果から、メタン生成アーキアのRuBisCOは、O2との反応性がこれまでに解析された光合成RuBisCOと比較して著しく高く、CO2/O2反応比特異性係数が非常に低いことが明らかになった。この結果と光合成生物進化に伴ってRuBisCOのCO2/O2反応比特異性係数が増加してきたことを合わせて考えると、このRuBisCOが機能する代謝回路が光合成カルビン回路の進化的原型であることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の概要に記載したように、本研究の目的であるアーキアにおける光合成カルビンサイクルの進化的原型代謝回路の鍵酵素であるRuBisCOの酵素特性がCO2固定酵素として非効率であり、原型代謝を示唆することを明らかしたことから、おおむね順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として、光合成カルビンサイクルの進化的原型代謝回路のRuBisCOの酵素特性を光合成RuBisCOのものと比較することで、RuBisCOの分子進化および光合成カルビンサイクルの進化を考察する。また、メタン生成アーキアの光合成カルビンサイクル進化的原
型代謝回路で機能する遺伝子のアーキアをはじめとする生物全体での分布を解析することで、この回路の進化的分布を解析する。

次年度使用額が生じた理由

(次年度使用額が生じた理由)
進行している研究項目のうち、1つの研究項目が予想よりもよく進展し、また研究目的に対する重要度が高かったため優先した結果、他項目で使用予定であった額が次年度使用額として生じた。しかしながら、全体の研究の進行が遅れた訳ではない。
(使用計画)
全研究項目を予定通り進めるとともに、本年度の研究計画を遂行する。

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公開日: 2021-12-27  

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