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2020 年度 実績報告書

環状ペプチドクオルモンを用いた腸内細菌の新奇共生戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K22288
研究機関九州大学

研究代表者

中山 二郎  九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)

研究分担者 田中 芳彦  福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードクオラムセンシング / チオラクトン / 補体 / グラム陽性細菌 / クロストリジウム / ウエルシュ菌 / バイオフィルム / 自己誘導ペプチド
研究実績の概要

本研究では、環状ペプチド(自己誘導ペプチド:AIP)が関連するグラム陽性細菌のクオラムセンシングが宿主の免疫系からの回避に関連している可能性について調べた。つまり、環状ペプチドのチオラクトン構造が、補体のC3分子にも共通して存在することから、チオラクトンが補体分子あるいは補体C3の標的分子と反応して、補体の攻撃を阻止している可能性を考えた。
まず、C. perfringensの血清培養を行った。野生株(13株)は30分間かけて生菌数が最少となったが、AIP欠損株(TS230株)の場合、血清中で10秒間反応した時点で既に同等の生菌数の減少が見られた。しかし、TS230株にAIPを添加した後に血清培養を行った場合、AIP非添加区と比較して血清中の生菌数に有意な変化は見られなかった。また、ELISAによる補体C3bの菌体結合量の解析では、13株とTS230株の有意な差は確認できなかった。
C. perfringensの血清培養については、野生株(13株)の方がAIP非合成株(TS230株)に比べて血清培養後の生菌数が多いことから、TS230株において、補体攻撃に対する感受性が向上していると考えられる。しかし、10秒間の血清との反応で13株およびTS230株共に、大腸菌DH5α株より生菌数が減少したことから、酸素又は補体以外の血清成分が生菌数減少に寄与している可能性が危惧される。また、AIPの添加によるTS230株の血清感受性に変化が見られず、TS230株の血清感受性にAIPの欠損以外の要因の関与も検討すべきと考えられる。その一つとして、TS230株がペリクルバイオフィルムという特殊ななバイオフィルムを形成している点が挙げられる。現在、クオラムセンシングとペリクルバイオフィルムの形成についての関連性について研究を進めている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Clostridium perfringensのagrBDノックアウト変異株におけるペリクル状買フィルム形成の分子機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤瞭,重岡愛莉,本田香代,安達桂香,大谷郁, 中山二郎
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021年度大会
  • [学会発表] Clostridium属細菌におけるagr制御系の機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      重岡愛莉,Basit Yousuf,東聖也,岡健太郎,高橋志達,中山二郎
    • 学会等名
      2020年度日本フードファクター学会・日本農芸化学会西日本支部合同大会
  • [学会発表] Clostridium perfringensにおける自己誘導性ペプチドを介した宿主免疫回避能の解析2020

    • 著者名/発表者名
      本田香代,安達桂香,永尾潤一,田中芳彦,大谷郁,中二郎
    • 学会等名
      2020年度日本フードファクター学会・日本農芸化学会西日本支部合同大会

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公開日: 2021-12-27  

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