今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り研究計画書に従い、形質転換さらには哺乳細胞宿主系にて生物活性天然物の生合成を確認する。 宿主とする細胞は子宮頸癌由来細胞Helaのような増殖が早く、かつ遺伝子導入効率が高いヒト培養細胞を用いる。また、細胞内で生合成させる天然物は、①細胞死誘導効果を示す、②少数の遺伝子から生合成されるものを候補とする。その候補であるAspergillus fumigatusが産生するフマギロールの前駆体には細胞死誘導活性があり、またファルネシル二リン酸 (FPP)を基にテルペン環酵素とシトクロムP450の2つの酵素によって合成されるため[Watanabe, K., Tang, Y., et al., JACS, 136, 4426-4436 (2014)]、他の複数個の生合成遺伝子を必要とする天然物と比べると、遺伝子発現のための条件検討が非常に容易である。また、受入研究室では酵母でのフマギロール生合成遺伝子発現系が既に構築されているため、発現系構築に要する時間の大幅な短縮が見込まれる。その他の候補天然物としては生合成遺伝子数が2個のコルジセピン [Cell chemical biology, 24, 1479-1489 (2017)]や、4個のアフィジコリン [Biosci. Biotechnol. Biochem, 75, 1813-1817 (2011)]などが挙げられる。
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