研究課題/領域番号 |
19K22298
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 哲也 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70374618)
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研究分担者 |
山田 真路 岡山理科大学, 理学部, 教授 (80443901)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ダイズ / タンパク質 / アルギニン / ジペプチド / テトラペプチド |
研究実績の概要 |
ダイズの主要な貯蔵タンパク質である7Sおよび11Sグロブリンの蓄積を低下したダイズ系統における種子成分の分析を行った。遊離のアミノ酸について分析を行ったところ,7Sと11Sグロブリンの両サブユニットタンパク質を低下させた系統では,野生型に比べ遊離のアミノ酸含量が5倍程度増加していることを明らかにした。特に,遊離のアミノ酸の内,アルギニンが大きく増加していることを明らかにした。また,タンパク質を加水分解した後に構成アミノ酸を比較したところ,遊離のアミノ酸と同様アルギニンの組成比が増加していることを明らかにした。さらに,HPLCを介してタンパク質分画において分子量の分布を比較したところ,7Sおよび11Sグロブリンの蓄積を低下したダイズ系統では低分子化合物が増加する傾向にあった。そこで,ペプチドについて解析したところ,7Sと11Sグロブリンの両サブユニットタンパク質を低下させた系統では,特定のジペプチドおよびテトラペプチドの蓄積量が野生型と比べ増加していることを明らかにした。これらの結果から,7Sと11Sグロブリンの両サブユニットタンパク質を低下させた系統では,遊離のアミノ酸,ジペプチドやテトラペプチドを増加させることで種子の中における窒素含量を一定保つ働きが存在することを明らかにした。また,遊離のアミノ酸においてアルギニンが大量に蓄積していたことに関して,アルギニンは分子内に窒素を四つ含むアミノ酸であることから,貯蔵タンパク質の合成に利用できなくなった窒素源をアルギニンに変えて効率的に窒素を利用する機序があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内におけるコロナウイルスの感染拡大防止措置により,学内への立ち入りが制限されたことを受け,貯蔵タンパク質のサブユニットタンパク質の蓄積を低下させたダイズ種子の増殖を予定通りに行うことができなかった。これらの種子は増殖後,脱脂した後に架橋剤を加え,プラスチックを試作する予定であったが,それらの研究に提供できる十分なタンパク質を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
従来,本研究は2019~2020年の2年間で終了する予定であったが,研究を1年延長し2021年度において再度材料を増殖することで研究実行に必要量のタンパク質を確保することで進めることができなかったプラスチックの試作及びその特性解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染拡大防止措置により,学内への制限に伴い予定していた材料の増殖と確保ができず一部の研究について遂行することができなかった。よって,遂行できなかった一部の研究において次年度へ延長して行う予定である。なお,繰り越した金額(1,600,000円)を全て使用する予定である。
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