研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、遺伝子組換えに該当しない範囲のゲノム編集を用いて植物の特定のタンパク質の発現量を変化させる方法の開発を行った。そのためのアプローチとして、標的遺伝子の5'非翻訳訳領域の開始コドン上流域をCRISPR/Cas9システムを用いて切断し、二本鎖DNA切断の自然修復に伴うランダムな変異をその周辺に生じさせた。その結果、5'非翻訳訳領域の開始コドン上流域に生じたランダムな変異によって、タンパク質発現量を様々なレベルに変化させられることを明らかにした。
分子生物学
遺伝子組換え作物は有用な形質を持っていても、消費者から敬遠される傾向がある。本研究で開発した方法では、外来導入DNAを残さずに特定のタンパク質の発現量の調節が可能で、多くのタンパク質の発現調節に応用できると考えられる。そのため、遺伝子組換えに該当しない範囲のゲノム編集を用いて様々なタンパク質の発現量の改変による品種改良が可能となり、作物育種への大きな波及効果が期待できる。