研究課題
本研究では自然界に生息する微生物の中で植物性乳酸菌に注目し、植物性乳酸菌の環境中における循環と、植物性乳酸菌が植物にどのような関係を持っているのかを、植物の病害抑制効果の視点から明らかするにことを目的としている。植物性乳酸菌は動物の自然免疫システムを活性化させて、ヒトや家畜の健康に寄与することが知られているが、その植物性乳酸菌の由来については十分な理解がなされていない。また、植物の茎葉には、植物性乳酸菌が定着しているが、自然界における植物に対する植物性乳酸菌の役割についての理解は不十分である。植物性乳酸菌の環境中における動態と、植物に対する病害抑制効果を評価することにより、環境中における植物性乳酸菌と植物・動物との相互関係を包括的理解しようとするものであり、植物の病害防除への応用も期待される。本年度は、植物性堆肥から乳酸菌を単離し、難防除トマト青枯病に対する病害抑制効果の検討を予定した。研究室にて作成した落葉堆肥を滅菌蒸留水に懸濁し、ミラクロスで濾過後、得られた濾液を乳酸菌選抜培地で培養し、植物性乳酸菌候補となるコロニーを単離した。同菌の分類同定と、トマト青枯病抑制効果について解析を進めてたが、コロナ禍の影響により十分な実験時間が確保できなかったため、次年度にはそれらの解析を早急に実施する。
3: やや遅れている
コロナ禍の影響により十分な実験時間が確保できなかったため、落葉堆肥から単離した植物性乳酸菌候補株を得たが、その同定と植物体への定着およびトマト青枯病抑制効果の解析には至っていない。
落葉堆肥から単離した植物性乳酸菌候補株について、16SrDNA遺伝子の塩基配列などの指標を用いて菌株を同定するとともに、イネ植物体内における同植物性乳酸菌株の定着や移行や、同菌株処理によるトマト青枯病の抑制評価を早急に実施する。
コロナ禍の影響により十分な実験時間が確保できなかったため、落葉堆肥から単離した植物性乳酸菌候補株を単離したが、その同定と植物体への定着およびトマト青枯病抑制効果の解析には至っていない。落葉堆肥懸濁濾液から単離した植物性乳酸菌候補株について、16SrDNA遺伝子の塩基配列などの指標を用いて菌株を同定するとともに、トマト植物体内における同植物性乳酸菌株の定着や移行や、同菌株処理によるトマト青枯病の抑制評価を早急に実施する。また、遺伝子の塩基配列に基づく同定や植物体内での同菌の動態解析にはPCRによる遺伝子断片増幅(分子マーカーとしても利用)が必要である。研究費は、その実験を実施するため、オリゴDNA合成やPCR反応酵素などの分子生物関連試薬、一般試薬、プラスチックチップ・チューブなどの実験消耗品に使用する。
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Journal of General Plant Pathology
巻: 89 ページ: 24-34
10.1007/s10327-022-01107-z
Journal of Plant Pathology
巻: 104 ページ: 605-618
10.1007/s42161-022-01066-6